長崎幻影

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創作人形「長崎幻影」 

中村信喬作 長崎幻影
平成15年西部工芸展日本工芸会西部支部長賞 受賞
九州国立博物館収蔵
人形師
中村信喬作
高さ34.5cm




「加比丹(カピタン)も 共に登る可 蘭の坂」


二〇〇五年十月十六日、百年におよぶ地元の熱心な誘致運動が実を結び福岡県太宰府市石坂の地に九州国立博物館が開館した。
東京、奈良、京都に次ぐ全国で四番目の国立博物館で「アジアの交流」にスポットを当てる新たな文化拠点としての役割を持ち、開館以来、全国各地からの来場者でにぎわっている。
一八九九年、美術運動指導者の岡倉天心が描いた「九州博物館設置」の夢を受け継ぎ、語り、紡ぎ、そして実らせた「九州国立博物館を誘致する会」(有吉林之助会長)はその役割を終え解散の記念として、博多を代表する人形師、中村信喬制作による「長崎幻影」を国立博物館に贈呈した。
作品は伊万里の壷を手に長崎の港を見下ろし故国をしのぶカピタンの姿。「江戸時代の文化交流を地元博多の伝統工芸で作品化した国博にふさわしい作品」との評価を受けた。
カピタンとは長崎の出島を訪れたオランダ商船の船長のことで、信喬氏は長崎を旅行中オランダ坂より長崎の街を見下ろすと、氏の脳裏にこのカピタンの姿が刻み込まれ、晏兵衛という俳号をも持つ氏の前述の句となった。
題名通り「幻影」として現れたカピタンが工房で作品と化し二〇〇三年西部工芸展で日本工芸会西部支部長賞受賞の快挙を成し遂げた。
全体にプラチナを施し、その上から彩色した奥深い色のグラデーション。江戸期の柿右衛門様式と言われる壷の曲線。それに比例したカピタンの流線型の姿。堂々とした形の中にも、長崎の風情とその時代の情緒が兼ね備わった優品として認められた。
これは技術を超え氏の感性のなせる技で、未来を見つめる作者自身の姿に置き換えているのかもしれない。





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