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博多人形師
白水正興作
能楽の曲目の一つで、狂女物内では代表格にあたる「隅田川」を題材にした作品です。
武蔵野国(今の東京都)に大きく横たわる隅田川。当時はその巨大な流れの為、橋もなく渡し守の出す舟によってその川を渡っていました。
ある日の夕暮れ渡し舟も最終便というときに一人の狂女が現れます。その狂女は人買に攫われた息子を尋ねあるきはるばる都から東の国武蔵まできたというのです。
渡し守はその狂女を『面白う狂うて見せよ、狂うて見せずばこの船には乗せまいぞとよ』と虐め、なかなか舟に乗せようとしません。そこで狂女は在原業平の『名にしをはば、いざ言問はむ都鳥、わが思ふ人はありやなしやと』と伊勢物語の一説を引き、自分の子を思う気持ちを訴えます。その哀れさに渡し守はその狂女を舟に乗せ川を渡り始めます。
向こう岸では大勢の人々が集まり大念仏会を行おうとしている。その大念仏会の物語を渡し守が語り始める。
その大念仏会の成り行きを渡し守が「一年前の今日、都から人買いにさらわれてきた子供がおり、病気になってこの地に捨てられ死んだ。そして死の間際に、ここまで連れ去られたなりゆきそして名前を話し、柳を目印に埋めてくれと言い残した。そしてそれを里人が哀れんで一周忌の今日大念仏会を開いている」と語る。
その話にその物狂の女がハッと顔を上げそれが我が子のことだと悟ります。同情した渡し守が塚にその女を連れて行くと、母の念仏と共に子のまぼろしがさっと現れますが、夜明けと共にそのまぼろしは消えていき、残るは塚と草むらだけになります。