細密伊万里 葉山有樹の世界

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有田に生まれた葉山有樹氏は、絵師、ろくろ師,陶商の中で焼物に携わる人々の悲喜交々を見て育ち、知らぬ間に自分の中にそれらを学び吸収していた様です。古伊万里の流れをくみながら、かつて誰も成し得なかった「細密画」の技法を完成しつつ陶画の世界を新しく展開しています。

一口に「細密画法」といっても薩摩や九谷の金燗手とは異なり、染付けに赤絵(色絵)を付けるいわゆる染錦といわれるもので、染付けの青が作品全体を引き締めその格調を生み出す「かくし味」となっています。

構図の源は古代オリエントに始まり殷・周・明・清時代の中国文明を経て日本に伝わりこうした流れの源の中で日本の絵画、工芸品は勿論、古伊万里、鍋島にみられる日本の風土に合ったものへと変化していった文化資料です。しかし、これらはオリエント文明のほんの一端にしかすぎず、まだまだ多くの素材が人類の文化資源として残っていると考えられ、葉山氏自身掘り尽くせない魅力的な資源であると感じているのです。

もう一点大切なことは、これらを活かす腕即ち「技」を持ち合わせているかが重要だと考えられます。葉山氏の持論は「人には持って生まれた才能がある。しかし、それは全てに通じず向き不向きがあり、工房の仲間たち(10人位)との研鍍の中でも、作家が一つの作品を制作する時に重要なのは得意分野には他の誰をも踏み込ませない事つまり“互いが持っている最良の技の集結で一つの作品を創りあげる事”だと言っています。

オリエント地域では、紀元前5000年頃にみられる土器の中に細かに刻みこまれた幾何学文様があり、これが細密画の初めの資料に記してあります。細かな文様は「空間恐怖」の念から生み出されたとの説明が一説にはありますが、それにしても洗練された美しさと計算された幾何学文様は現代にもそのまま通ずるものがあります。青海波・亀甲文・七宝文・卍文・動物文・植物文等を極端に抽象化しながら見事に文様として完成させています。


「細密画の世界は、言葉では言い表わせない程の作り手の思い入れを余すところ無く吹き込める世界であり自らの分身を作り出す作業に思えます。陶磁器は何千年も生き続けます。ある意味では自ら生き続けるのです。決して恥ずかしい仕事は自分の為にできない思いがあります。」 -葉山有樹談-


普通の絵師では考えられない細密な絵付けには遠目には単色に映り、近目には文様が浮き上がるというねらいがあり、技術力、根気力、集中力、体力、眼そして色彩感覚とがあって始めて成し遂げられるものである。

一点一画を疎かにせず内部や蓋の裏、高台にいたるまで完璧な絵付けの施されたその作品は気品漂うまさに「現代の名品」と呼ぶにふさわしい優品揃いである。有田400年の歴史と伝統の中に彗星の如く現われた天才絵師である。


1961年 佐賀県有田町生まれ 1975年 当地の窯元へ入社 1985年 佐賀県山内町にて「葉山有樹窯」開窯 1991年 有楽町「ウラクメインギャラリー」に出品 1992年 東京にて「第十八回有田名窯展」出品 1994年 この年より各地にて個展開催 1998年 O・A・Gドイツ文化会館にて展覧会開催 2004年 福岡国際フォーラムにて「模様の変遷」の講演 2005年 「詩想の旋律」を出版 2007年 「A Pattern Odyssey 葉山有樹展」図版出版 2007年 フィンランド・ヘルシンキ「デザイン・ミュージアム」巡回展開催

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