人形師 天平大雅(小田謙二) 略歴

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人形師 天平大雅(小田謙二) 略歴

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「喜楽人形」

天平大雅先生の工房は、福岡市の郊外、旧唐津街道に並ぶ商店街の中にあり、古い油問屋を改築した趣きのある建物です。 昔からの家屋に特有な落ちついた空間と、ゆったりとした時間の流れ。 ストレスの多い社会から隔てられた異空間に入ると、妙にこころが落ち着き、本当の自分を感じられそうです。そのようなやすらぎの空間の中で天平先生は制作に励んでおられます。

人は、地球上で喜怒哀楽の感情を、表情として表せる数少ない動物です。社会を作っていくなかで、個人の表情を伝達の方法として確立し、感情の伝達はやがて言葉を生み、文字となり、文明へと発展していきました。人形もそれに追従して、人の感情を受け止める役割を担ったと思われます。

人間は古来より、天変地異に遭遇したり病気や怪我をして心が不安でいっぱいになると、その不安な気持ちを人形に移し替え心を軽くしたと考えられている。今でも神社などで授与される紙を人の形に切り抜いたものに体の具合の悪い箇所を擦り付け息を吹きかけて、それを川や海に流す風習があるのは、その名残でしょう。つまり人形は人の感情を入れる器であったと考えられて、長い間祈念と畏敬の対象であったと考えられます。

そうして、さまざまな人形が作られてきたが、中でも「喜」と「楽」を題材にしているものも多い。やはりそれだけ喜びと楽しみは、人の生活に欠かせないものなのでしょう。

天平大雅先生もその原点に戻って人形を制作しています。 「喜楽人形」というユニークな名前で呼び、人形作りのコンセプトでもあります。 天平先生の作品は見ていて、どこか懐かしい、飽きのこない、自然な表情であるのが特徴です。やはり天平氏も作品を創るとき、いちばん「表情」に重きを置いているという。それもただ美しい、立派と言うのではなく、「味のあるいい表情」。毎日眺めても飽きのこない、その時々の自分のこころを映しだしているように思える、そういった風情を持った人形です。 すべてのものに当てはまることですが、見るものがそのような感情を抱くには、直感に訴えるものがなくてはならないように思います。何もとらわれず、素直に良いと思えるもの・・

それを天平先生は、日常の中にある、リアルでしかも理想的な表情に見出しています。例えて言えば、単にきれいな美女やかわいいだけの童ではなく、ちょっと女心を覗かせた表情の美女や、利かん坊の童、哲学的な眼差しの僧侶等々・・・。 天平先生がそれを表現するためには、従来の博多人形の様式にはとらわれず、陶芸の技法や釉薬を使って、いままでにない味わいを出しています。 天平氏の喜と楽のこだわりの表現は、これからも魅力あふれる作品を生み出してくれることでしょう。


昭和30年 佐賀生まれ 昭和53年 博多人形師白石一敏氏に師事 昭和61年 博多人形技術振興競作展 与一賞 白彫会に所属 昭和63年 独立 小田人形工房開設 平成2年 博多人形新作展 経済振興局長賞 平成3年 博多人形新作展 入選 平成4年 博多人形新作展 入選 中国北京にて人形実演・指導(伝統産業協会主催) 平成7年 日本現代工芸美術展 入選(以後六回入選) 平成8年 日展 入選 平成10年 県展 入選 平成11年 県伝統工芸競作展 福岡市長賞受賞 日展 入選 新世紀人形展 入選 平成12年 技能奨励賞 平成17年 作品集「三国志」出版 平成18年 日本現代工芸美術展 現代工芸美術賞 日本現代工芸美術協会 本会員

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